最近、東京都知事選挙も絡んで、原発の可否議論がまた増えてきました。
とても良いことだと思います。
原発には事故や放射性廃棄物の課題があります。
一方で、人類全体の課題として、(あくまで「地球のため」ではなく、「人類のため」)温室効果ガスの一つである二酸化炭素(CO2)の増加を対策することは急務ではないでしょうか。
そのため、個人的には、事故対応・対策と今後の事故発生防止に全力を注ぎ込んだ上で、二酸化炭素の排出量が少ない原発の再稼働は必要だと思っていました。
原子力発電による電力で、ガスや石油の代替を進めなければならないと思っていました。
…というのは過去形です。
最近知ったのですが、光電池による太陽光発電の効率やコストが、ここ数年飛躍的に良くなってきているのですね。
めずらしく政府の適切な施策で、開発や普及がすごい勢いで進んでいるようです。
太陽電池は当然昼間しか発電しないので、ずっと定常的に電力を供給する原子力発電の代わりにはならないことは分かります。雲が出ていると大きく発電量が落ちるので、電力会社での電力調整の計画がやりにくくなることも分かります。しかし、使用量が多い時間帯をサポートすることになるので、火力発電を減らす原動力にはなるのではないでしょうか。
そうなると、気になるのは、
「太陽光発電は本当に二酸化炭素を減らせるのか」
という点です。
今の太陽電池材料の主流はシリコンです。シリコンは精錬するのにかなり電気を使うはずです。
発電中は二酸化炭素を全く出さなくても、造るときに大量に出していたら、なにをやっているやら分かりません。
Google先生に聞いてみても、分かったような分からないようなサイトばかりで納得性が薄いです。もしかして、このあたりを適当にごまかしているのでは無いかと思い、図書館で調べてみました。
結果は、今の発電効率の場合、製造時に使った電力量は、およそ1.7年の発電電力量と同じぐらいになります(計算は下記)。つまり、1.7年より先の発電分は、すべて二酸化炭素排出ゼロの電気ということになります。
太陽電池の寿命は20年以上とのことですので、予想以上に二酸化炭素削減効果が大きそうです。
とりあえず、今日から原発再稼働反対派に転向して、自宅に太陽光発電を付けられるか調べてみたいと思います。
計算:
- 製造にかかる電力量
モジュール1枚あたり、約300kWh〜400kWh - 1年間に発電する電力量
定格1kWあたり、ざっくり1000kWh/年 (温度が高い場合の発電効率の落ち方など、構造によって違うようですが、大体これより多いようです。) - モジュールあたり定格電力
東芝の0.25kW(単結晶シリコン)、パナソニックの0.24kW(単結晶シリコンとアモルファスシリコンの積層)あたりが先端のようです。 - 何年で製造時電力量に到達するか
モジュール定格0.24kWとして、240kWh/年発電。
製造時電力量400kWh ÷ 240kWh/年 =1.7年
3 thoughts on “太陽光発電は本当に二酸化炭素(CO2)削減できるのか”